変形性股関節症と正しく向き合う会の代表理事、井口です。
私は2010年11月に左側、2012年2月に右側の人工股関節全置換術を受けました。
上の写真は私の実際のレントゲン写真です。
左右とも人工股関節が入っているのが分かると思います。
ちなみに、右がチタン合金の人工股関節、左がポリエチレン素材の人工股関節です。
(レントゲン写真では左右が反対に写っています。)
そんな人工股関節について、私は術前から術後、現在に至るまでずっと疑問に思っていることがあります。
それは、
・ 人工股関節の情報があまりにも少ない
・ そして、人工股関節を患者自身が選ぶことが実質的にできない
ということです。
人工股関節というのは、手術後の数十年体に入るものです。
それなのに、詳しく情報を知ることが難しい状態で、お医者さんに言われるままに人工股関節の手術をする、ということに違和感があるんです。
私は、変形性股関節症で人工股関節の手術を控えている患者さんは、人工股関節そのものについてもっと深く知るべきだと考えています。
今日は、そんなお話です。
人工股関節の情報はあまりにも少ない
先日、ある人工関節メーカーの方とお話しする機会がありました。
そこでいろいろお話を伺ったのですが、最近の人工股関節はかなり進歩してるんですよね。
例えば、私の場合、人工股関節の固定に釘を使っています。
が、現在では医療用セメントで固定するそうです。
また、ステムと(骨の中に埋められている部分)も現在は非常に短くなっているとのこと。
体への負担がずいぶん少なくなっているそうです。
私の写真を見ていただくと左右で長さが違うのが分かると思いますが、現在は短いほうよりもっと短いそうです。
他にも耐用年数が30-40年に延びているなど、その進歩には目を見張るものがあります。
ただ、術前にお医者さんがこういった情報を事細かに説明することはほとんどありません。
もし、患者さんが正確に情報を知っていたら、主治医の方にきちんと自身の要望や疑問をぶつけられるにも関わらず、です。
私は、変形性股関節症の元患者として、この状況を何とかしたいと考えています。
人工股関節を患者自身が選ぶことが実質的にできない
先ほどの話と関連しますが、現状、手術を控えた患者さんは「どの人工股関節を使うのか」を積極的に選択することは難しい状況です。
なぜならば、患者さんはそもそも人工股関節に関する知識がほぼない状態であるため、「人工股関節を選ぶ」ということにすら意識が及ばないことがほとんどだから。
結果として、お医者さんが進める人工股関節をそのまま使う、ということになります。
ただ、人工股関節は手術後の数十年体に入るものです。
もしも、患者さんが人工股関節について正確な知識を持っていれば、
例えば、
「術後はたくさん泳ぎたいから、それに適した人工股関節にすることはできませんか?」
とか
「仕事でよく歩くので、この人工股関節がいいのですが」
など、自分の術後の生活を踏まえた要望ができると思うのです。
私は、変形性股関節症の元患者として、この状況を何とかしたいと考えています。
そのために
私にできることは、人工股関節に対する「患者が本当に知りたいこと」をきちんと伝えること。
それを踏まえて、手術を控えた患者さんが主治医と人工股関節について話ができるようになればいいと考えています。
人工股関節の手術を控えている患者さんのお役に立てれば幸いです。
※なお、本ブログとして、人工股関節手術を勧めているわけではない点をご理解ください。