変形性股関節症と正しく向き合う会の代表理事、井口です。
今回は両側人工股関節手術のお話です
両側人工股関節手術とは1回の手術で両方の股関節を同時に人工関節へ置き換える手術のことで、私が手術を受けた16年前にはそれほど行われていませんでした。
ただ、近年の技術の進歩のためか、最近では医者に進められるがままに両側人工股関節手術を選択される方が増えてきているように感じます。
この点に私は大きな懸念を持っています
協会で関わる患者さんの話を伺っていると、リスクを深く考えず安易に両側人工股関節手術を選択する方が多いからです。
今回は、両側人工股関節手術を検討している患者さんへ向け「両側人工股関節手術を決断する前にきちんと考えてほしいこと」をお伝えします。
全て私が実体験から得た知恵です。
ぜひご覧ください。
両側手術を決断する前にきちんと考えてほしいこと
それは、”患者にとっての”メリットとデメリット。
決断は両者をきちんと比較して、じっくりと時間をかけて行うべきです。
なぜなら
“手術を受ける”ということは、患者から見ると医者に命を預けることだから。
昨今ではクリニックや病院の経営状況が非常に厳しくなっていることもあり、医者の立場から見れば2回分の手術料が発生する両側人工股関節手術を勧めるケースが多くなっています。
ただ、それはあくまで病院側の事情です
医者に命を預ける立場の患者としては、一度立ち止まって自分自身にとってのメリットとデメリットをしっかりと考えなければ、大きな後悔を抱える結果につながりかねません。
以下に、患者にとってのメリットとデメリットをまとめました。
これらを踏まえて、ぜひ自分自身が心から納得できる判断をしていただければと思います。
患者にとってのメリット
1.短期間で回復できる
2つの股関節を1度の手術で治療できるため、治療の回数が減少します。
2.生活の質が向上する
両股関節を一度に手術することで、歩行や移動が格段に改善されます。
また、痛みを抱えた生活から解放されるため、日常生活の質が向上します。
3.心理的な負担が軽減される
両側を同時に手術すれば、将来的にもう片方を手術しなければならないという不安を感じずにすみます。結果として、心理的な負担が軽減されます。
4.入院期間の短縮とコスト削減ができる
1回の入院で両側の手術を行うため、入院日数や医療費の削減が期待できます。
患者にとってのデメリット
1.合併症のリスクが増加する
両側を同時に手術することで、手術時の合併症のリスクが2倍高くなる可能性があります。
もっと詳しく言えば、
・出血量が2倍となる
・脱臼リスクが2倍となる
・感染率が2倍となる
・神経障害の発生率が2倍となる
・痛みの部位も2倍(2か所)となる
・静脈血栓症の発生リスクも上昇する
などがあります。
それだけでなく、全身麻酔や手術時間が長くなることで、全身への負担も大きくなります。
長期的に見ても、人工股関節の摩耗や脱臼、感染症などの合併症が2倍となるリスクがあるため(患者さんの生活習慣や活動レベルによるところも大きいですが)将来的に再置換等の手術が必要になることもあります。
2.回復が遅れる可能性がある
両側を同時に手術することによって、回復期に両側の機能が同時に低下します。
そのため、片方ずつ手術を受ける場合よりも回復に時間がかかります。
3.痛みや筋力の問題が出る
両側の股関節を同時に治療するため、術後の痛みや筋力低下が両側にでてくることがあります。
結果として、歩行や日常生活動作に影響を与える可能性があります。
4.リハビリの負担
両足のリハビリを同時に行う必要があるため、患者の身体及び心理的な負担が大きくなります。
特に、高齢の患者さんや他に健康上の問題がある患者さんには、この負担が重く感じられます。今まで運動をしてこなかった患者さんには、相当きついリハビリになるはずです。
また、両側人工股関節手術を行うと片側の足を軸足として使えないので、入院中のリハビリが難しくなる点もデメリットです。
今回は
「両側人工股関節手術を決断する前にきちんと考えてほしいこと」をお伝えいたしました。
繰り返しとなりますが、担当医から積極的に同時手術を勧められた場合でも、すぐに結論を出さず、患者にとってのメリット・デメリットを正しく理解した上で、じっくりと時間をかけて考えることが大切です。
セカンドオピニオンなども利用しながら、くれぐれも慎重に判断してください。
もしわからないことや相談したいこと、患者側の視点からの話も聞いてみたいなどあれば、協会で【個別相談付き】メディカル・アロマケア(股関節ケア)個別体験会や個別相談を主催しておりますので、うまく活用してください。
この記事が少しでも役立つことを願ってやみません。
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