変形性股関節症と正しく向き合う会の代表理事、井口です。
日ごろから変形性股関節症に悩む方の相談を受ける中で、時々感じることがあります。
それは、股関節の痛みに悩む方の中に、ご自身の股関節の状態をしっかりと把握できていない方がいらっしゃるということ。
そんな状態だと、
・ お医者さんに行っても説明が今一つ理解しきれない
とか
・ 股関節の痛みに自己流で対処しようとしてうまくいかない
ということが往々にして起こります。
そこで今日は、股関節の痛みに関する基本的な知識として、股関節が痛くなる原因についてまとめてみました。
ここを理解しておくことで、股関節の痛みについてより深く理解できると思います。
結果として、お医者さんのお話がよく分かるようになったり、股関節痛への対処の方向がより具体的に見えてくる可能性が高くなります。
股関節の痛みに悩んでいらっしゃる方はぜひご覧ください。
股関節の役割
股関節は「体全体を支える」ことが最大・最重要の役割となります。
股関節が体全体を支えるからこそ、体を曲げたり、脚を前後左右に広げたりと、様々な動きをすることができます。
ちなみに、人間が両足で立つ場合、自分の体重の30~40%の負荷が股関節にかかります。
片足で立つ場合には、自分の体重の3~4倍の負荷が股関節にかかるんですよ。
股関節がなぜ痛くなるのか?
そのように体を支える股関節ですが、痛くなる原因は大きくいって2つ考えられます。
関節軟骨がすり減ること
一つ目は、関節軟骨がすり減ることです。
ただ、実際は関節軟骨には神経が通っていないため、すり減ることで痛みが起こるわけではありません。
痛みが起こる仕組みとしては、
・ 日常生活動作や激しい運動などを行うと、関節軟骨がすり減る
・ すり減った軟骨の破片が関節包内に飛び散る
・ 体がそれを異物とみなし関節包内の滑膜(かつまく)に炎症が起き、痛みを感じる
※図中のピンク色の部分です。
なお、滑膜(かつまく)とは、図中の逆さまにしたお椀と球をつないでいる部分です。
というイメージです。
関節唇(かんせつしん)が傷つくこと
二つ目は関節唇が傷つくことです。
関節唇(かんせつしん)というのは、上の図中のこげ茶色部分になります。
では、関節唇が傷つくとはどういうことでしょう。
その前に、まずは正常な股関節についてお伝えします。
正常な股関節は、ちょうど逆さまにしたお椀の中に球がうまくはまった状態になっており、球がよく滑るように軟骨がいわば潤滑油として存在しています。
逆さまにしたお椀は、通常は球を十分に包めるだけの面積を持っているので、お椀の中で、球がスムーズに動くことができます。
ところが、股関節の痛みを抱える方の中には、逆さまにしたお椀の形状に問題がある場合があります。
お椀が球を包み込む面積が狭く、お椀の中で球がスムーズに動けないのです。
その場合、お椀の端っこにあたる関節唇を球が傷つけてしまい、周囲に炎症を起こします。
結果、股関節の痛みを感じるようになるのです。
変形性股関節症は女性に多い
上記のような股関節痛は男女問わず起こりますが、
ひどい股関節の痛みを伴う変形性股関節症は、特に女性に多いと言われています。
理由としては
・ 「先天性股関節脱臼」や「先天性臼蓋形成不全」が小さな女の子に多い
・ 女性は男性に比べて股関節周囲の筋力が弱い
・ 女性は骨盤が横に広く、体の中心から股関節が遠くなることにより股関節に大きな負荷がかかる
ちなみに、現在では「先天性股関節脱臼」は「発育性股関節形成不全」と呼ばれ、「先天性臼蓋形成不全」は「発育性股関節形成不全」と呼ばれています。
股関節の痛みの原因の基礎知識を押さえてください
そうすることで、あなたの股関節の状態をより正確に理解することができます。
変形性股関節症による股関節の痛みであれば、状態を正確に理解した上で適切な運動とケアを行えば、進行を遅らせることができると思います。
今日の記事を、股関節の痛みに関する基礎知識としてぜひ理解してくださいね。