変形性股関節症と正しく向き合う会の代表理事、井口です。
変形性股関節症の患者にとって大変重要なこと。
それは、現行の医療費制度を知った上でリハビリをどう進めるか検討することです。
今日は、現行の医療費制度でも特に押さえておくべき”リハビリの150日ルール”のお話です。
ぜひ知っておいてください。
”リハビリの150日ルール”とは
健康保険を使用してリハビリを受ける場合の診療報酬を算定するルールのこと。
このルールでは、リハビリ対象となる部位に応じて健康保険の適用対象となる上限日数が決められており、膝や股関節などの運動器の場合、発症から150日がリハビリ期間の一応の上限とされています。
ただし、例外が認められる場合もあります。
治療を継続することで改善が期待できると医学的に判断された場合、1ヶ月13単位(1単位20分)に限定されるものの、150日を越えても一定の限度でリハビリを継続することができます。
このルールの影響としては
経営的な側面から、医師や病院は発症後150日を超えるリハビリには積極的になれない、ということがあります。
例えば人工股関節手術などでも、医者は可能な限り入院期間を短くしようとします。
それこそ、最近の人工股関節手術の入院期間は1週間ぐらいというのが当たり前。
実際、昨年の日本股関節学会学術集会に参加した際に聞いたある病院の医師が
「うちの病院では、入院期間は1週間です。
あなたの病院で1ヶ月というのは、長すぎでしょう。
もっと努力すれば短くできるはずですよ。」
と自慢気に話しているのを聞いたときには、大変なショックを受けたものです。
また、この話は協会に相談に来られる患者さんからも大変よく聞くので、いわば”常識化”していると考えられます。
ただ
この問題はリハビリ関係者からすると大きな懸念を抱かされる問題です。
私の周りのリハビリ関係者にこの問題について尋ねてみると
「最近の患者は、術後のリハビリの量が圧倒的に少ない。」
と嘆く方が非常に多くいらっしゃることからもよく分かります。
私自身の実体験を踏まえても、術後リハビリが1週間というのは本当に短すぎるのです。
その後の日常生活をスムーズに送るためには全く足りていないと言わざるを得ません。
しかし
今後、健康保険を利用したリハビリの日数や時間については、主に国の財政的な側面からますます短くなっていくことが予想されます。
ということは、手術を検討されている患者にとっては、まずはリハビリを重要視している医師や病院を選ぶことが非常に重要となります。
その上で150日のリハビリ上限を過ぎたら自費でのリハビリを考えることが必要になります。
患者である私達が、医師や病院に依存するリハビリから抜け出して自らが選択する主体的なリハビリに転換することが必要になってくるのです。
この記事があなたのリハビリを見直すためのきっかけとなることを願ってやみません。