変形性股関節症と正しく向き合う会の代表理事、井口です。
2018年10月26日、27日の話。
この2日、名古屋で行われた日本股関節学会学術集会に行ってきました。
日本股関節学会とは、今年で設立45年目の日本整形外科学会最大の団体。
この学会で、現在の股関節医療の最前線を知ることができました。
今日は、日本股関節学会学術集会で私が感じたことをお伝えしようと思います。
最前線の股関節医療事情に触れることは、変形性股関節症との闘病に役立ちます。
ぜひご覧下さい。
日本股関節学会学術集会は
とにかく研究発表と症例報告などがたくさんあります。
ありすぎて、一人ではとても全部まわることができないレベルです。
そこで、それぞれの日ごとにテーマを絞ることにしました。
1日目
まず1日目は、「人工股関節置換術後の人工股関節周囲骨折の事例」について。
韓国からの招待講演者によるお話です。
勉強になったのは、人工股関節にはセメントタイプとセメントレスタイプがあるということ。
セメントタイプというのは、人工関節と骨とを固定する接着剤を使った人工股関節。
セメントレスタイプは、接着剤を使っていない人工股関節のこと。
日本では、セメントレスが8割程度を占めているそうです。
このお話を聞いて私が思ったのが、セメント、セメントレスどちらもメリット・デメリットがあるな、ということです。
もちろん、どちらにするかは、医師が患者の骨の状態や年齢などを考慮して判断します。
ただ患者からも積極的に医師に質問して、納得した上でどうするか決めることが大切です。
そのための基礎知識が患者側にまだまだ足りないため、私も情報発信を行う必要があると痛感しました。
2日目
2日目は、リハビリ、保存療法、ジグリングでの運動療法、アロマ関連と、私の興味がある分野を広くまわりました。
リハビリ
最前線では、変形性股関節症のリハビリについて
・ 前期または初期の場合、筋力強化を目的とする
・ 進行期または末期の場合、可動域訓練を目的とする
ということでした。
また、大学病院でのリハビリは口頭での指導が多く、医師としては変形性股関節症の患者に合う筋力増強の回数ややり方を決めることが難しいと感じているとのこと。
つまり、患者に痛み止めを飲ませてまで運動をやらせるかどうか判断するのが難しいそう。
他にも、脊椎の可動性が残っているうちにトレーニングをした方がよいということのコメントもありました。
私の印象としては、リハビリについてはきちんとしたプログラムがまだ確立されておらず、実質的に患者自身の選択に委ねられているな、というものでした。
私の経験からすると術前~術後~退院後までリハビリは非常に大切であるため、患者がリハビリに積極的に取り組む意識を持てるような情報発信をますます行う必要があると感じました。
保存療法
股関節周辺筋力の状態は、変形性股関節症の病期によってが異なります。
そのため、保存療法として最も効果的なのは、オーダーメイド的な運動療法とのこと。
私自身の肌感覚とも一致する研究結果です。
ジグリング
ジグリングとは、貧乏ゆすりのことです。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、健康雑誌などでジグリングにより軟骨が再生すると話題となっております。
(もちろん、すべての患者の悩みが解消できるというわけではないようです。)
ただ、他の病気を患っているために手術ができない、という患者にとっては、ジグリングも1つの選択肢になり得るのではないかと感じました。
アロマ関連
アロマと筋肉痛の関連について、ある病院の看護師さんグループによる研究発表を聴くことができました。
人工股関節手術を受けた患者は、術後翌日からのリハビリで筋肉痛などに悩まされます。
筋肉痛には通常薬剤のみで対処していますが、今回の研究では、アロマオイル配合のバーム(市販のメンソレータムのような油脂性の高いものと同様の感触)を使用したところ、疼痛緩和とリラックス効果が得られたとのこと。
加えて、心理的にもプラスの効果があり、術後のリハビリ促進に有効であるという結果が得られたそうです。
看護師は、患者にとって一番近い存在。
私にとっては、大変興味深いお話でした。
日本股関節学会学術集会に参加して
最前線の情報について、私自身まだまだ知らないことが多いと感じました。
それこそ、様々な研究を理解するための医学用語。
ある程度の医学用語については、前もって勉強しておかないと、そもそも研究結果を理解することすらできないと痛感しました。
ただ、自信を持てたのが自分の体力についてです。
私は術前から現在まで、継続してリハビリを行っています。
それが功を奏したのか、この2日間で広い名古屋国際会議場をかなり歩き回ったのですが、足に全く疲れを感じなかったのです。
改めて継続したリハビリと股関節ケアによる筋力トレーニングの重要性を実感しました。
なお、この記事ブログで書かせたいただいた内容は、あくまでも私の個人的な意見としてご理解いただければと思います。
この記事が少しでもお役に立てば幸いです。