変形性股関節症と正しく向き合う会の代表理事、井口です。
先日、手術を控えた患者さんから相談を受けました。
手術についての不安を一つずつ伺いアドバイスをさせていただいたところ、気持ちが前向きになったようで、本当にうれしく思いました。
その中で感じたのが
手術を行ってから変形性股関節症を克服するまでに意識すべきポイントが、予想以上に押さえられていないということ。
当たり前ですが、手術によって痛みがなくなっても変形性股関節症が克服できたわけではありません。不自由のない日常生活を取り戻し、自分のやりたいことにチャレンジできるようになって初めて、変形性股関節症の克服と言えるのです。
今回、私が変形性股関節症を克服するために手術後に意識したポイントを4つお伝えします。
特にこれから手術を控えている患者さんは、ぜひご覧ください。
人工股関節の手術後に意識すべき4つのポイント
ポイント1.禁忌動作の理解
禁忌動作とは、手術後にやってはいけない動作のこと。
例えばあぐらをかくことは禁止、といったものになります。
具体的な内容は、手術のアプローチ方法や患者の病状、股関節の状態などよって異なりますが、ほとんどの病院で禁忌動作の指導が行われます。
ここでお伝えしたいのが
手術を行った患者さんは、必ず禁忌動作をきちんと「理解」して欲しいということです。
ここでいう「理解」とは、病院から伝えられた注意事項や禁忌事項の資料を熟読して「分かった」と感じるレベルではなく、その禁忌動作が、具体的に自分の日常生活の中のどのようなシーンのどのような行動に当たるのか、ということをありありとイメージできるレべルを指します。
そのレベルまで理解できなければ、実際の日常生活の中で禁忌動作を避けることは難しいです。
分からないことがあれば、退院前に必ず医師や理学療法士などに確認することが大事です。
ポイント2.日々慎重に行動する
人工股関節の手術を行うと、患者を悩ませていた股関節の痛みがなくなります。
そうすると、患者はだんだんと「慎重に行動する」という意識が薄くなり、病気にかかる前と同じ意識で行動しがちです。この傾向はスポーツ経験がある人ほど強くなりがちですが、決して自分の体を過信しないでください。
というのも
手術後に、骨の中に人工股関節が入っている状態で無理をすることは、人工股関節のトラブルにつながったり、最悪の場合再置換が必要になることもあるからです。
特に、両側同時に人工股関節手術をした場合は細心の注意が必要です。
「やりすぎかな」と思うくらいに慎重な行動を行うくらいでよいのです。
術後のトラブルを避けるために禁忌動作を避け、日々慎重に行動することを意識してください。
ポイント3.術後リハビリは適切な負荷で行う
手術を行うと、その後の1年間は脱臼のリスクが高くなります。
この期間は、特にリハビリ運動の負荷設定に細心の注意が必要です。
これもスポーツ経験がある人に多いのですが、この期間中に「自分ならこのくらい負荷でも問題ないだろう」と勝手に判断し、運動負荷を上げてしまうことがあります。
その結果、体に負荷がかかり過ぎてしまい、別の場所が痛くなったり、人工股関節のトラブルにつながることが往々にして起こります。
リハビリ運動で最も重要なのは
現在の自分の身体の状態を正確に把握し、無理のない負荷で継続的に取り組むことです。
変形性股関節症の克服には、術後も長い時間がかかります。
とにかく人工股関節のトラブルを避けるよう、慎重に慎重を重ねてください。
ポイント4.専門家の言葉に素直に耳を傾け実践する
術後、専門家にリハビリ指導を受けている患者さんもいらっしゃると思います。
4つ目のポイントは、そのような患者に向けたものです。
ぜひ、専門家の言葉には素直に耳を傾けてください。
専門家は、患者の身体の状態を客観的に把握し、それを踏まえてリハビリメニューを提案します。それを素直に受け入れ、まずは実践してください。
気になることがあれば、自分勝手に内容を変えてしまうのではなく、その都度専門家に意見を聞いてください。
私の経験上、専門家の言葉に素直に耳を傾け実践できる人は回復が早いと感じております。
術後、4つのポイントを押さえることで
現在私は変形性股関節症を克服することができています。
日常生活を何不自由なく送ることができておりますし、肉体的には同年代の健康人と同じレベルの筋肉量まで回復し、負荷の高いリハビリ運動を行うこともできています。
これから手術を控えている患者さんは
ぜひ今回お伝えした4つのポイントを意識してください。
術後、変形性股関節症の克服に向けて着実に進むことができると思います。
何かわからないことや相談したいことなどがあれば、協会では【個別相談付き】メディカル・アロマケア(股関節ケア)体験会や個別相談を行っておりますので、うまく活用してください。
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